カスタマーサクセスとは?向いてる人やカスタマーサポートとの違いなど網羅的に解説

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Takuya Takubo Takuya Takubo

こんにちは、エンスポーツの田窪です。

今回はビジネスにおける「カスタマーサクセス」の位置付けについてのお話です。何を目的に、なにを意思決定基準にして、どのような業務に落とし込むべきかといった戦略設計に関してまとめました。

弊社の事例もご紹介しつつ「向いている人」にも言及していますので、ぜひご参考ください。

カスタマーサクセスとは

カスタマーサクセスとは、自社の提供するサービスの「顧客の成功」を目指す戦略的活動です。

自分たちのビジネスを成功させるには、自分たちの顧客へ「成功」を届けなければならないという考えのもと、さまざまなサービスで取り入れられています。

カスタマーサクセスの目的

カスタマーサクセス部門の目的は「顧客の成功」にありますが、その先には「事業自体の成長」を見込んでいます。

仮に顧客が成功したとしても、自社のビジネスが立ち行かなくなればサービスは継続できず、そこには何も残りません。

あくまで事業の成功や成長を最終的な目的としておくことが重要で、その過程として「顧客の成功」を目指す考え方は、カスタマーサクセス部門の全員が理解しておく必要があります。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサポートはあくまで受動的な立ち位置で、顧客がサービスを利用する上で起きた問題の解決をサポートします。

一方でカスタマーサクセスは、顧客がサービスを利用する目的や理由をもとに、能動的に顧客を成功へ導くためのアプローチをおこないます。

会社によっても考え方がさまざまあると思いますが、自分はカスタマーサクセス戦略の中の一部としてカスタマーサポートが存在するような構造で解釈しています。

弊社ではカスタマーサクセス部門が担う一つの役割として、カスタマーサポートを定義しています。

UXデザインとの関わり

昨今ではUX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉も一般的になってきましたが、カスタマーサクセスとUXは密接な関係にあります。

UXとは、そのサービスを利用する顧客の「体験」です。UXデザインとは、ユーザーがそのサービスを利用する目的(ゴール)を達成するまでの体験や感情の流れを設計することです。

私は「カスタマーサクセス戦略の一部にUXデザインがある」といった解釈をしています。

ですからカスタマーサクセスは事業の中枢におく必要があり、さまざまな部署との連携も必要になる重要な部門だと考えています。

カスタマーサクセスが必要な理由

そもそもカスタマーサクセスという言葉は、比較的新しいものです。諸説ありますが、2004年にSalesforce社がカスタマーサクセスの原型となる概念を作り、2010年頃からアメリカで「Customer Success」という名称が定着し、日本では2017年頃から徐々に導入されてきたような背景があります。

カスタマーサクセスが生まれた理由としては、サービスの料金形態として月額課金制(サブスクリプションモデル)が主流になってきたことが大きいと言われています。

それまでは「売り切り」の商品が主流だった中、サブスクで長く使い続けてもらうためには、顧客を成功に導く必要が出てきました。

顧客の成功がビジネスの成長に直結するという考え方が広まり、事実としてカスタマーサクセス戦略を取り入れた企業が台頭してきたことから、必要性が認められるようになりました。

そういう意味では、現代のSaaSを中心とした月額制サービスにおいては、かならずカスタマーサクセスが必要であるとも考えられます。

カスタマーサクセスの意思決定指標

「カスタマーサクセス」を考えるにおいて、何を基準に意思決定するべきでしょうか。

自分は「事業として定義しているKPIやKGIの中から、そのサービスの成長ステージにマッチした指標を選択するべき」だと考えています。

例えば大手動画配信サービスネットフリックスでは、単に「視聴時間」の長さを重要指標とせず、視聴完了率や視聴後の満足度を重要指標に置いているそうです。

弊社のENSPORTSでは、マッチ率や退会率に関するマイクロ指標のうちの一部を、重要な意思決定指標としています。これはサービスの成長ステージによって、見るべき指標は少しずつ変わってくるであろうと考えています。

「顧客の成功」とだけ聞くと、定性的で曖昧な雰囲気がしてしまいますが、定量的な指標に置き換えなければ効果検証がうまくできません。

もしもカスタマーサクセスが事業全体で重要指標としているKPIやKGIとは別のものを目的としていたら、事業の方向性あるいはカスタマーサクセスのあり方に問題がある可能性が高いと考えます。

カスタマーサクセスの業務内容

カスタマーサクセスの具体的な業務内容について、取り入れているものや、理想としている内容をまとめました。

ユーザー調査・データ分析

もっとも大切で、もっとも難しいことは、自社ユーザーを理解することです。

なぜ利用していただけているのか。なぜすぐに退会されてしまうのか、といったことを理解しなければ、カスタマーサクセスの仕事ができません。

具体的には下記のようなタスクが考えられます。

  • 既存ユーザーへのユーザーインタビュー
  • 未利用ユーザー層へのユーザーインタビュー
  • ユーザー行動データをもとにした定量的な利用状況調査
  • 競合調査

さまざまなアプローチからユーザーを理解することが、重要業務内容です。

UXデザイン

UXデザインもカスタマーサクセスの重要な業務です。具体的には下記のようなタスクが考えられます。

  • カスタマージャーニーを元にした総合的な体験設計
  • 初心者ユーザーのオンボーディング施策の立案
  • 既存ユーザーのナーチャリング施策の立案
  • 既存機能の見直し、新規機能の立案

これらタスクにおける全ての意思決定は、ビジネス上のKPIやKGIに基づいている必要があります。

カスタマーサポート

カスタマーサポートは、直接的に顧客と関わる部門ですから、カスタマーサクセスにおいて非常に重要です。

具体的には下記のようなタスクが存在します。

  • 問い合わせ対応
  • トラブルシューティング
  • サポートページの管理やアップデート
  • レビュー対応
  • レビュー内容の部門全体へのフィードバック

直接的にお客様との窓口にもなる、重要なタスクとなります。

利用状況の監視

とくにユーザー同士によるコミュニケーションが発生するサービスでは、利用状況のパトロールもカスタマーサクセスにおいて重要な業務です。

  • ユーザー利用状況の監視
  • 利用状況の定量的な評価
  • 利用状況の定性的な評価
  • 不正ユーザーの早期発見と対応
  • ユーザーインサイトの掘り起こし

定期的に利用状況を監視する中で、本当にUXデザインによって定義した体験設計に沿って活用いただけているかなども見えてきます。それが全体的な施策の評価や効果検証にもつながってきます。

カスタマーサクセスに向いている人

カスタマーサクセスに向いている人物像は、以下のとおりです。

  • 顧客と直接コミュニケーションが取れて、営業からクレーム対応までおこなった経験がある
  • 目的や目標をもとに、手段は問わず自分で意思決定をして行動することが得意
  • マーケティングやデザイン、エンジニアリングなど色々なことに興味を持てる

カスタマーサクセスは一切正解のない世界ですから、「指示されたことをやる仕事」が得意な人には向いていません。業務を効率よく改善したり、根本的なシステムから見直したりと、現状に疑問をもって仕事と向き合える人に向いています。

たとえば幅広い分野に興味をもって色々なことに手を出してきたものの、スペシャリストではないことに悩んできた人こそ、カスタマーサクセスではその経験が武器になるはずです。

カスタマーサクセスはビジネスにおいて重要なポジション

カスタマーサクセスは、ここまでお伝えしてきた通り横断的な知識やタスクを必要とする部門です。

事業レベルの意思決定をすることも多いため、ビジネス経験が豊富な方が求められます。そういう意味では新卒というよりも、第二新卒や中途採用での市場が大きい部門です。

いま自分が仕事をしている世界を狭く感じてきた方、より広く高い視点をもって仕事をしたい方などにはピッタリかと思います。

弊社でもカスタマーサクセスをお任せできる方は随時募集していますので、興味のある方はぜひお声がけください!

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Takuya Takubo

記事を書いた人

Takuya Takubo

Develop / PdM / 田窪 拓也

エンスポーツでプロダクトマネージャーをしています。プロダクト開発・運営の中で身につけた知見をもとに、役立ちそうな情報を発信していきます。