iOSアプリ(AppStore)の審査期間を短くするには?

- 開発

こんにちは。エンスポーツでプロダクトマネージャーをしている田窪です。
AppStoreにリリースしているアプリを運営している中で、どうしてもすぐさまリリースしたい修正箇所が出ることがあります。
通常の審査期間では困るので、どうしても短くしたい。早くしたい!
といったケースの対応策がありましたので、通常の審査期間とも比較できるように、実際に試した知見をもとに情報をまとめました。
iOSアプリの審査とは
そもそもAppStoreでiOSのアプリをリリースするには、下記のフローを辿ります。
- Xcodeでビルドする
- リリースしたいビルドをストアにアップロードする(has completed processing)
- App Store Connectでリリースを作成し、審査に提出する(Waiting for Review)
- Appleのレビュワーがアプリの審査を開始する(In Review)
- 審査が完了してリリースされる(Ready for Distribution)
ちなみに手動リリースに設定していると、審査完了時に「Pending Developer Release」のステータスになります。
審査落ちした場合は、修正箇所を含むメッセージが送信されてきます。
このようにAppleのレビュワーによる審査を挟まなければ、App Storeにアプリをリリースできない仕組みになっています。
iOSアプリの審査期間はどのくらい?
公式ドキュメントでは、審査期間について下記の記載がありました。
平均すると、提出件数の90%が24時間以内に審査されます。
https://developer.apple.com/jp/distribute/app-review/
人力で審査されているようで、提出から審査完了まではある程度の期間を見込んでおく必要があります。またタイムゾーンはUSですから、日本時間の感覚とも少し異なり、夜中や朝方に審査が開始されるケースが多くなっています。
実際の審査にどのくらいかかっているのか、あくまで弊社で開発しているアプリケーションの例ではありますが、一部のリリースの審査時間をまとめて比較してみました。
審査提出 | 審査開始 | 審査完了 | 審査期間 |
---|---|---|---|
5/23(木) 19:35 | 5/24(金) 1:33 | 5/24(金) 5:15 | 9:40 |
4/19(金) 15:34 | 4/19(金) 19:37 | 4/19(金) 19:57 | 4:23 |
3/28(木) 13:54 | 3/31(日) 17:04 | 3/31(日) 18:10 | 77:16 |
3/25(月) 12:26 | 3/26(火) 18:46 | 3/26(火) 21:45 | 9:19 |
3/13(水) 15:28 | 3/13(水) 22:59 | 3/13(水) 23:32 | 8:04 |
3/7(木) 10:30 | 3/7(木) 23:16 | 3/8(金) 0:22 | 13:52 |
3/1(金) 10:47 | 3/1(金) 15:23 | 3/1(金) 15:33 | 4:46 |
もちろんタイミングや担当するレビュワー、アプリの種類や提出時間帯などによって状況は変わってくるかと思いますが、総合的には「思ったより早く審査してもらえているな」という所感です。
まとめると以下のような状況です。
- イレギュラーを除くと、提出から審査完了まで平均8時間20分かかっている
- 審査が開始してから完了するまでの時間は、10分で終わることもあれば4時間かかることもあり、更新内容やレビュワー(おそらく)によってバラツキがある
- アプリの変更内容が多くなるに比例して、当然ながら審査開始から審査完了までの時間は長くなる傾向にある
- たまにイレギュラーっぽく大幅な審査期間がかかることもある
iOSアプリの審査期間を短くするには?
通常リリースの場合
通常の審査において、なんらかのテクニックを持ってして審査期間を短くするのは難しいところです。レビュワーの都合や変更内容によっても期間は変わりますし、仮に他のアプリの審査がたまたま多く重なったら、当然ながら待たされることになります。
ただし、どうしても1回あたりの審査期間を短くしたい場合は、1回のリリースに含める変更内容を最小限にしつつ、細かくリリースしていくのが良いかもしれません。
変更箇所が少ないほど、審査が開始してから完了するまでの時間は、明らかに短くなる傾向にありました。
緊急リリースの場合
実はApp Storeには、緊急で審査してほしいときのために別途申請できるフォームが用意されています。下記のページから「request an expedited app review」の申請がおこなえます。
実際にその方法を使用したところ、下記のスケジュールで審査が完了しました。
提出 | 審査開始 | 審査完了 | 審査期間 |
---|---|---|---|
5/29(水) 9:40 | 5/29(水) 12:45 | 5/29(水) 12:50 | 3:10 |
最速タイムが出ています。
ただし闇雲に使える方法ではなく、ページには下記の記載がありました。
注:平均して、提出された申請の 90% は 24 時間以内に審査されます。ただし、重大なバグを修正したり、イベントに合わせてアプリをリリースしたりするなど、特別な事情がある場合は、このフォームに記入して迅速な審査をリクエストできます。次の点に留意してください。
Contact the App Review Team
・App Review に送信された申請のみが優先処理されます。
・過度の緊急リクエストを送信すると、将来の緊急リクエストが承認されなくなる可能性があります。
要するにバグ修正でどうしても早くリリースしたい場合など、事情があるときは別途申請できるようになっているのです。
AppStoreConnectにログインした状態でこのページをひらけば、基本的な情報は自動で入力が終わっているため、審査を急ぎたいアプリを選択して送信するだけで申請完了します。
※申請するには、すでに審査に提出している必要があります。
どうしても早くリリースしなければならないときは、活用してみてはいかがでしょうか。
まとめ
ちなみにエンスポーツで「request an expedited app review」を利用したタイミングは、対応OSバージョンに関する不具合修正です。
これまでiOS16以上を対象としていたのに、リリースの際に誤ってiOS17.4以上を指定してしまいました。ちなみに弊社アプリでは、iOS17を利用できない種類のiPhoneユーザーが全体の8%ほどいらっしゃいましたので、その方々にはダイレクトに影響する問題です。
すぐさま修正しなくてはいけませんし、バックエンドだけでどうにかなることでもなく、かならずリリースが必要となります。
こういった緊急性の高いリリースが必要な場合は、「request an expedited app review」の申請を検討してみてください。
カジュアルにお話しませんか?
エンスポーツでは、一緒にはたらく仲間を募集しています。
アプリ開発に携わっていただけるエンジニアはもちろん、広告集客・ライティングが得意なディレクターやマーケターの方も歓迎しています。
ご興味をもっていただけましたら、ぜひ気軽にご連絡ください。

記事を書いた人
Takuya Takubo
Develop / PdM / 田窪 拓也