マイクロマネジメントとは?具体例や上司と部下の関係を考える

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Takuya Takubo Takuya Takubo

こんにちは、エンスポーツの田窪です。

世の中には「マイクロマネジメント」という言葉があります。上司側・部下側それぞれに言い分があるものの、基本的には上司側のハラスメント行為になることの多い概念です。

ただこれは人的マネジメントの問題というよりも、採用や配置といった組織全体の問題が強く作用する分野だと感じています。

私は過去に別業種で数十人規模の部下を持っていたこともあり、現在は数人程度のチームでSaaSを運営しています。そんな中、自分がマイクロマネジメントをしてしまったこともあれば、自分の部下が更に下の部下に対してマイクロマネジメントをしていたケース、あるいは自分が上司からマイクロマネジメントを受けたケースまで様々経験してきました。

マネジメントに苦しむ方の参考になればと思い、自分の経験してきた現場のマネジメントと照らしながら、本質的な問題について考えてみました。

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、上司が部下の業務に対して過度に干渉・管理する状態を指します。指示の粒度が細かすぎたり、報告の頻度が異常に高かったり、業務の進め方やタイミングにまで逐一口を出すような行為が該当します。

一見すると「しっかり面倒を見てくれる上司」にも見えるかもしれませんが、実際には部下の自律性や成長の妨げとなり、組織全体のパフォーマンスを低下させてしまう要因になりやすい行動です。

マイクロマネジメントは単なる「性格の問題」ではなく、組織の設計や人材の採用ミス、配置ミスが引き起こす構造的な問題だと考えます。

マイクロマネジメントの対義語である「マクロマネジメント」

マイクロマネジメントの反対語に「マクロマネジメント」と呼ばれる概念もあります。目的を伝えたうえで、裁量を大きく与えて自主性に任せるマネジメント手法です。

仕事ができる人材にはマクロマネジメントが有効とされますが、結果が出なければすべてが部下の責任になる諸刃の剣でもあります。

マイクロマネジメントとマクロマネジメントの狭間でバランスよく仕事ができるのが、おそらく「良い上司」と呼ばれる人物なのでしょう。

上司と部下の理想的な関係性

そもそもの話ですが、マイクロマネジメントだろうがマクロマネジメントだろうが、部下が上司を尊敬し、上司が部下を尊敬している現場であれば、大きな問題は起きないと感じています。

コミュニケーションにおいて歪な関係になっているからこそ、それが「マイクロマネジメント」などのハラスメント行為として顕在化してくるのではないかと思います。

卵が先か鶏が先かという問題はありますが、マイクロマネジメントが行われる現場は、そもそも上司と部下がお互いを尊敬できない環境や人材配置になっている可能性が高いと感じます。

マイクロマネジメントが起きる職場の特徴

マイクロマネジメントが起きる職場の特徴を3つにまとめました。

マネージャーや部下の人格やスキルなど個人の能力だけに起因するのではなく、環境や構造が大きく影響すると考えています。

1. メンバーのレベルと業務の期待値に乖離がある

「任せたい仕事の水準」と「実際に任せられる人材のレベル」にギャップがある場合、上司はどうしても細かく指示を出す必要に迫られます。結果として、マイクロマネジメントに陥ります。

これはまさに採用や配置のミスが起因するケースかと思います。

2. 上司自身がプレイヤーとして優秀で職人気質である

プレイヤーとして高いパフォーマンスを発揮してきた人が、マネージャーとしての役割に切り替えられない場合に起きやすいパターンです。「自分ならもっと速く・うまくやれる」と思ってしまうため、つい手や口を出してしまうという状況です。

これについても、基本的には配置ミスで片付けられる問題です。プレイヤーに同じ分野のプレイヤーをつけたら、自然と優劣をつけたがり、歪な関係値になることが目に見えています。

3. 情報共有や役割設計が不十分

組織内での目標や役割分担、進捗の可視化が不十分な場合、「ちゃんと進んでいるかどうか」が上司の不安につながり、それを解消するために細かく介入するようになります。

これについても組織のルールや構造、体制の問題に起因します。

マイクロマネジメントの具体例

マイクロマネジメントの具体例について、3つのよくあるケースをご紹介します。

ケース1:報告頻度の異常な指定

部下に「このタスクは、朝・昼・夕方の3回、進捗を報告してほしい」といった指示を出す事例です。

OJTなどで一番最初だけは良いかと思いますが、継続して行うことは部下の自律的な判断を奪い、報告のために仕事をする状態になり、パフォーマンスが落ちる典型例です。

ケース2:メールやチャット文面の添削

次に多いのが「クライアントへの返信文、全部僕に確認してから送って」といった指示を出す事例です。

必要かつ大切なことですが、実際におこなう場合は組織的にダブルチェックの仕組みを構築することが推奨されます。その人に対してのみ個別でおこなうと「間違えないために、怒られないために仕事をする」といったメンタルを育ててしまいます。

ケース3:画面越しの付きっきり指示

「そのボタンじゃない、それを押して、次にこのページを開いて」といったように、つきっきりで操作を指示するようなマネジメントも推奨されません。

集中できなくて結果的に操作を覚えられないどころか、プレッシャーで焦りが出てミスまで併発することになります。

マイクロマネジメントを起こさないための対策

マイクロマネジメントを起こさないためには、採用と配置と仕組みづくりが大切だと考えます。

1. 採用段階で「任せられるレベル」の人材を選ぶ

まず大前提として、マイクロマネジメントが必要になるようなスキルレベル・思考力の人材を採用しないことが重要です。

たとえば、業務マニュアルが完璧に整備されていないスタートアップの現場で、「受け身で指示を待つタイプ」の人材を採用してしまうと、現場としては逐一細かく指示を出す必要が出てきます。これは本人にとっても、上司にとっても不幸です。

弊社では「この人はどのくらい自走できるか」「曖昧さや裁量に対する耐性はあるか」といった点を、お話の中で確認することにしています。

2. プレイングマネージャーに同じ専門分野の部下をつけない

プレイヤーとして優れている人がマネージャーになった場合、期待値とのギャップに苦しむ場面が多々あります。「なんでこんなこともできないのか」「自分ならもっと速くやれるのに」といった感情が芽生え、結果として細かい介入(=マイクロマネジメント)に繋がってしまいます。

プレイングマネージャーには、そのマネージャーが専門としない分野のプロフェッショナルを部下やチームメンバーとしてアサインし、業務の棲み分けを行うことが大切です。

3. 「マネジメントが不要な仕組み」を構築する

そもそもとして、マネジメントしなくても成果が出る構造を作るという視点も重要です。具体的には以下のようなものが該当します:

  • 明文化されたプロセスやガイドラインの整備
  • OKRやKPIなど、個人に委ねる判断基準の明確化
  • 定例や1on1による進捗確認のルーティン化
  • チャットツールやNotionなどでのオープンな情報共有文化の醸成

このように、「人の介入がなくても進む仕組み」があることで、マイクロマネジメントの余地そのものが減っていきます。

マイクロマネジメントは構造的な問題

マイクロマネジメントは「上司の性格が悪いから」といった単純な話ではなく、組織の構造や文化、採用と配置の設計ミスに起因する部分が多いように感じます。

弊社はそもそもマネジメントが不要な組織を理想としており、基本的に自走・自学できる人材のみ採用するようにすることと、仕組みで解決できることは仕組み化することを目指しています。

マイクロマネジメントで苦しむ職場が一つでも減るよう、この記事が何かの参考になれば幸いです。

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Takuya Takubo

記事を書いた人

Takuya Takubo

Develop / PdM / 田窪 拓也

エンスポーツでプロダクトマネージャーをしています。プロダクト開発・運営の中で身につけた知見をもとに、役立ちそうな情報を発信していきます。